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「医者はピュアな人が多いから」

[2023.10.20]

形成外科医の北条先生のチャンネル。内容は賛同できるところも、まあそうでもない所もありますが、時々参考にさせていただいています。今回は医者について語ったこの動画。

「医者はピュアな人が多い。ピュアで世間知らず、ほぼ建前だけみたいな世界で生きていられるのは、高い給与が保証されているからで、患者の命を救うという場面においてその特質は必要なものであるが、いざ社会に出ると変な人となる」という感じのことをおっしゃっていました。

医者が建前の世界に生きている、というのは本当にその通りで、あまりにきれいごとばかり言っているので気分を害される方もいらっしゃるのではないか、と思うこともあります。以前中国に行った時、中国の医者に「日本って医者は貴族の職業なんでしょ?」と言われました。中国と日本で医者の扱われ方は多少違う所もあるのかもしれません。最近は医者の労働条件が変わってきており、貴族とはとても言えない気もしますが、とにかくそういう扱いのようです。

個々の患者さんの治療において、きれいごとや建前というのは、ある程度必要なものかもしれませんが、それがそのまま通らない状況というのは今回のCOVID19パンデミックなどがまさに典型です。

今回、専門家と称する人々は、「人との接触を8割減らせばコロナは撲滅できる」「日本の2週間後はNY の感染状況になる」「気の緩みで感染が増えた」「今ロックダウンしなければ日本は感染爆発する」など、後にことごとくハズレる予測をメディアで流しただけでなく、とにかくいくらお金がかかってでも感染を抑制してほしい、お金のことは政治家さんが考えてください、という態度を崩さず、挙句の果てに「新しい生活様式」などと言って他人の暮らしに干渉し、「これからの日本の都市のあり方」などという完全に門外漢の分野にまで口を出す始末で、側で見ていて本当に心の底から恥ずかしいと思っていました。唯一の救いは、これらのことが現在社会ですっかり忘れ去られたことでしょう。

一部始終をきちんと追っていた方は日本の専門家のあまりのデタラメぶりに呆れているはずですが、多くの人はそこまで見ていないし、日本のコロナ対策はうまくいったと信じている人も多いようです。個人的には、日本はコロナ対策にかなお金をかけましたが、リスクコミニュケーション、水際対策、感染拡大予測、感染予防のための方針など、主な項目でかなり失敗したと思っています。むしろ欧米の完コピをした方がマシだったのではないでしょうか。

お金は無尽蔵ではありませんし、病気はコロナだけでもありません。国民が健康に暮らすためには医療だけでなく他のものもかなり必要ですし、安全に暮らすためには災害対策や防衛のためのお金も必要です。しかしこのことが完全に抜け落ちてしまった専門家が、「いくら金がかかってもいいからコロナ患者を救え、お金のことを持ち出すなんて汚い、人の命とどちらが大事なんだ」とばかりにメディアに頻出したのがコロナ禍でした。医者のいうことには相当建前が含まれている、ということが理解できないと、どんどん変な方向に行くわけで、それが理解できなかったのが日本のコロナ対策の失敗の一因と思っています。

しかし最近気づいたのですが、専門家が出てくると間違う事例というのは、医療の分野に限らないようです。最近話題のイスラエル問題でも日本の専門家のバイアスが色々指摘されています(日本の専門家はパレスチナ寄りと言われています。個人的には日本人はユダヤ教もイスラム教も心の底からは理解できないので、それが結果的にパレスチナ支持に偏る原因かなと思っています)し、原発問題や再生エネルギー問題、その他政策決定のさまざまな場面において、専門家諮問会議なるものが開かれますが、ほぼ政府の決定に従った議論しか出ず、それはしばしば政策的に間違った判断となっています。

医者はピュアなままでは、これからはやっぱりまずいのではないか、と思っています。医者に限らず、社会に物申す学者さんはまず社会を知るべきです。あまりに社会を知らなすぎ、学問的な正しさにのみ拘泥するからこそ、情報の非対称性が生じ、智の民主化という理想像からは程遠いばかりではなく、国民にとって不利な結論を招いてしまうのです。

日本の学術界はタコツボ状態で、専門外のことはノータッチという慣習も学者の見識を狭めていますが、それよりもまず、いかに頭の良い人でも、家事や育児をやったり買い物に行ったり、普通に暮らすということにもっと関心を持った方がいいのではないでしょうか。

あと、学者さんは政治的にリベラルが多いと思いますが、これも実はあまりよろしくないと思われるため、一度は「俺の方が頭がいいから正しい」という思いを捨てて、色々な人の意見を聞くのがよいと思います。

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