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兵糧丸

[2025.07.11]

Tasting historyというYouTubeチャンネルを見るのが最近楽しみです。世界各国の人達が昔食べていたであろう料理を再現し、その文化的背景にも触れていく内容で、Max Millerさんの豊富な文献に基づいた解説と、あくまで上品で時々ちょっとユーモラスな語り口が魅力です。昔の日本の食べ物も時々登場します。

今回は忍者(や武士など)が携行食として用いていたという兵糧丸です。そんなものがあるなんて日本人の私も知りませんでした。

ネットで調べると色々情報があり、日本語の再現動画もありました。市販もされているようです。その中でもTasting History のレシピ(武田信玄の軍師・山本勘助の老談集にあったとされるものを記した後世の文献から引用)がちょっと面白いと思ったのはレシピに生薬が入っていたことです。動画によると、

もち米5分 うるち米5分 蓮肉1両 山薬1両 桂心1両 ヨクイニン1両 人参5分 氷砂糖1.5斤

とのことで、これを混ぜて蒸して団子にして…というレシピです。青字は中薬として使われるものですが、米も砂糖も薬膳で登場するものなので、全体に薬膳的なレシピです。氷砂糖は戦国時代になかったのではないかと思うので後世に加えられたものかもしれません。この人参というのは朝鮮人参ではなく竹節人参のようです。また、桂心は桂枝ではなく桂皮のことだと思います。桂皮以外は滋陰清熱的ですが、大量の桂皮に温裏作用があり、全体には温補かもしれません。桂皮にはさまざまな薬効がありますが、それは他の中薬との組み合わせによって発揮されるものでもあります。この兵糧丸がどこまでの薬効を発揮したかはわかりませんが、砂糖も米も貴重な時代で、昔の人の体質が現代人とはおそらくかなり異なることを考えれば、1個で7日…まではいかなくても、飢えをしのいで気力を養うには十分に効果を発揮したことでしょう。

Maxさんが日本の忍者に抱いていた完全に誤ったイメージは米国人あるある話ですが、日本の文献を通訳の方とともにきちんと読み、できるだけレシピを再現しようとしているのが面白かったです。一部映像と説明が日本人からすると微妙な箇所もありましたが、Maxさんがイケメンなので許しましょう。ちなみに兵糧丸の食べた感想は「ほぼシナモンのお菓子」。まあそれはそうですよね。

 

 

 

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