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プシコ

[2025.07.22]

プシコ 脳のしくみから考える 内科外来での精神疾患と器質疾患の診断 | 鈴木慎吾 |本 | 通販 | Amazon

日本医事新報という雑誌で感染症内科の専門家・岩田健太郎先生がおすすめされていたので「プシコ」という本を買ってみました。税抜き5000円なので高いとは思いつつ、興味のあるトピックだったのでAmazonで即ポチってしまいました。

岩田先生と言えば実は私と同じ年で(同じ年なのにどうしてこうも違うのか、ですがキャリアは人それぞれなので)、比較的若くして神戸大の教授に就任された頃はちょっと同年代のスター的存在でした。若くてとても勉強家で読書家、リベラルで旧来的インテリの典型のような人だと思っていました。感染症の本も何冊か買って読み、勉強させていただきました。岩田先生の本は文章が整理されてとても読みやすく、勉強の負担をそれほど感じずに読めるものが多かったです。

その後コロナ禍でダイアモンドプリンセス号に先生が乗り込んだあたりからちょっと雰囲気が変わってきて…いや正直な話、COVID禍で日本はまるで100年前のような時代錯誤的対応を結構してしまったと思っているのですが、その対応の根拠となったのは、感染症のオーソリティ達のポジショントークだったのではないかと思っており、岩田先生は残念ながらその象徴のような存在になってしまったのです。それまでは先生のブログとかXとかフォローしていたんですがやめて、ついでにX(当時のTwitter)もやめてしまいました。

ということで、本をおすすめされても素直に買いではない気分だったのですが、この本をお勧めされているのを見た時に、以前の岩田先生が戻ってきたような気がしたのです。(そんなの私の勝手な思い込みで先生ご自身は別に変わっていらっしゃらないとは思いますが)ちなみに相方にこの話をしたら「岩田先生が変な人だからそういう疾患に興味を持つんじゃないの」とけんもほろろでしたが、だとすれば同じくこの本に興味を持った私もそうなのかと聞くと、聞くまでもないでしょ、といわれました。まあそうですね。

精神疾患と身体疾患の境界領域が「プシコ」と呼ばれる一群であり、その中には精神疾患も、身体疾患も存在します。ちなみに私が昔某大学病院にいた時は、身体疾患のようにみえる精神疾患は「プシ」と呼ばれていましたが、同業者ならわかると思いますがこの言葉にはあまりよくないニュアンスがあります。とくに私のもともとの専門科では「プシ」ということになると「あ、もう我々の仕事じゃないよね」みたいに急になる風潮がありましたが、そもそも科の特性上「プシ」扱いになる人が結構多かったのです。当時の私は上司に口答えできるほどの自信は全くないものの、さすがにそれはまずいのではないかと思っていました。その疑問は今日までずっと続いています。漢方を始めたのも、その疑問に対する答えを求めていたことがきっかけの一つでもありました。

本を読みましたが、とても面白かったです。器質性疾患と精神疾患の鑑別の要点や、内科医が見落としがちな精神疾患のみかたについても、過不足なくまとめられていると思いました。(提示されている症例は私達が考える「プシ」よりも実はかなり内科疾患です)。何より読んでいて、これは患者さんを診察するための本というより、医師側のプシコ、というか認知の歪みに気づくための本なのではないかという気がしてきました。歪みなくものごとを見ることができれば、プシコを恐れる必要は全くない(いや、実際には結構恐れてしまうとは思いますが文章の表現として)と言えるでしょう。それにしても、本の体裁とか書き方、話の脱線の仕方やちょっとスノビズムを感じる所など、著者の先生は実は岩田先生に結構影響を受けているのではないか…という印象です(違っていたらごめんなさい)。とりあえず本は買ってよかったと思います。

面識はありませんが岩田先生については色々好き勝手に書いてしまってごめんなさい。でも、コロナ禍での数々の発言は今でもよく覚えていますし、それについて思う所はやっぱりあります。

 

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